当ワイナリーは、合計で100ヘクタールを超える土地を所有しています。そのうち55ヘクタールは特選葡萄畑で、Corbara湖の影響を受ける独自の小気候をもつ丘の斜面に広がっています。
土壌は火山性や堆積物、そして石灰質や粘土質が混在し、その地層は始新世（Eocene）に遡ります。これらの特徴により、私たちのワインには複雑なアロマとバランスの良い酸味、しばしば海洋由来ともいえるミネラル感が生み出されます。
土壌の肥沃度が低いおかげで、葡萄の樹は余計な介入なしに高品質のブドウを結実させます。すべてのブドウは自社畑由来であり、畑ごとに分けて醸造を行うことで、それぞれの品種が持つ特性を生かしています。

家族のメンバーが、ブドウの受け入れから醗酵、瓶詰めに至るまで、全工程を直接管理しています。ワイナリーに備えられた先端技術は、化学的な処理に頼ることなく、ワイン本来の自然な進化を尊重・引き出すために設計されています。
このようにして造られるワインは、真の個性と純粋さ、そして飲みやすさを兼ね備えています。畑の中心に建つワイナリーは比較的新しく、常に最新技術を取り入れ、年間約25万本のワインを生産しています。

Barberaniは有機農業の理念を採用するだけでなく、法律上の要件を大きく上回る取り組みを行っています。銅や硫黄の使用量を大幅に減らし、ブドウ樹の抵抗力を高めるための天然資材を活用しています。
また、有機肥料や植物性肥料のみを使用し、剪定した枝や茎など、葡萄園由来の有機廃棄物をリサイクルして土壌を豊かにしています。
畑に適度な草地被覆を保ちつつ、選りすぐった種子を播くことで土壌の有機質構造を改善し、浸食を抑え、生物多様性を促進します。伝統的な方法（例えば、穀物やマメ科の間作や植物由来の調合剤）を大事にしながら、自然の力を活かした葡萄栽培を実践しているのです。
さらに、気象や病害虫の発生を予測するシステムを導入することで、栽培期間中の防除回数を最小限に抑え、より持続可能なワイン造りを実現しています。

全体で100ヘクタールある当ワイナリーの敷地のうち、40ヘクタールは森が占めており、年間240トン以上のCO₂を吸収する「緑の肺」となっています。

この豊かな森林には、オオカミやヤマアラシ、アナグマ、猛禽類など、多様な野生生物が棲息しています。私たちの葡萄畑はテベレ川自然公園（Parco Fluviale del Tevere）内にあり、この豊かな生態系と調和して共存しており、自然があらゆるプロセスを導いているのです。

2013年、Barberaniはイタリア農業政策省が主催した全国的な研究開発プロジェクトのコンテストで1位を獲得し、Università della Tuscia（デッラ・トゥーシャ大学）との共同研究を開始しました。
病原体を早期に検出できるバイオセンサーや、活性酸素（オゾン等）を利用した技術を活用することで、ブドウの防除方法や亜硫酸塩を使用しないワイン製造に革新をもたらしています。

当ワイナリーがあるBaschiでは、家族が醸造プロセスのすべてを厳密に管理しています。手摘みで丁寧に収穫されたブドウは、収穫後わずか20分以内にワイナリーへ運ばれ、その鮮度と完全性を最大限に保ちます。
迅速な輸送と細部へのこだわりにより、非常に質の高いモスト（果汁）を得ることが可能となります。ワイナリーに到着したブドウは丁寧に除梗され、茎による青っぽい苦味や雑味が加わらないように管理されます。

こうした丹念な作業により、最初の繊細な「モスト・フィオーレ（初搾り果汁）」から最後の搾汁に至るまで、高品質な果汁を得ることができます。ほぼ0度近くの低温浸漬（クリオマセラシオン）を行うことで、ブドウがもつ一次香気を自然に引き出し、発酵前に工業的な助剤や化学物質を使う必要を排除しています。

発酵は徹底して管理され、毎日のチェックを行うことで亜硫酸塩の使用を最小限に抑えています。これはアレルギー反応のリスクを減らし、ワインの飲み心地をさらに良くするためです。
化学的な介入は行わず、物理的なプロセスのみで調整することで、ワイン本来の個性を保ちつつ、その純度・熟成可能性・飲みやすさを向上させています。

これは数千年前のエトルリア人が奥深い火山岩質の洞窟を利用して、温度差を活用した自然発酵や自然沈殿を行っていた伝統を、現代技術と融合させたものです。歴史と革新の交わる中で、唯一無二のワインを生み出すことが、私たちの大切な使命です。

健康と自然を重んじる理念のもと、私たちは亜硫酸塩無添加のワインを造るための独自プロセスを開発しました。

これは2006年に始まった研究で、優雅さ、長期熟成、安定性を損なうことなく、亜硫酸塩の完全な排除を目指してきた結果です。その成果として生まれたのが、Umbria IGT白ワイン「VINOSO」で、ワイン界において革新的な存在となりました。

私たちの方法はまず、活性酸素（EFSAやHACCP、有機規格で認可されている天然物質）を使った徹底的なブドウと機材の除菌から始まります。合成化学物質を一切使用せず、完全に安全性を確保します。
醸造の各工程では酸素との過度な接触を避け、還元環境を維持することで果汁の純粋さを保ちます。

特にGrechetto品種はポリフェノールを豊富に含み、強力な天然抗酸化剤として働きます。温度管理と酵母残さ（リー）の扱いを慎重に行うことで、香りや風味、そしてワインの安定性を維持しています。こうして、亜硫酸塩を加えなくても、爽やかさと純粋な味わい、そして長期熟成の可能性を兼ね備えたワインを実現し、地域の風土と伝統を余すところなく表現しているのです。

Orvieto Classicoの葡萄畑では、秋の朝にCorbara湖から立ち込める濃い霧が幻想的な光景を作り出します。この特異な小気候条件により、希少かつ貴重な現象が起こります。それが「ボトリティス・シネレア」、いわゆる貴腐（Muffa Nobile）です。夜・朝の湿度と昼下がりの温暖で風通しの良い気候の絶妙なバランスが必要とされ、この条件を満たせる地域は世界でも非常に限られています。

貴腐は葡萄の皮に微細な穴を開け、水分を徐々に蒸発させることで糖度・酸度・芳香成分を濃縮させます。こうして得られる果実は、極めて凝縮した高密度の果汁を生み、豊かで複雑なアロマと甘みと酸味の調和が特徴です。

貴腐化したブドウの収穫は非常に繊細で、熟度が理想的に達した房のみを選んで手摘みするため、複数回に分けて畑へ足を運びます。10月から12月にかけて3～6回に分け、最適なタイミングの果房だけを収穫するのです。
貴腐ブドウ果汁の発酵はゆっくりと進行し、数週間かけて行われます。この長い発酵期間によって豊かなアロマと風味が形成され、自然に発酵が止まることで程よい残糖が残り、まろやかさと深みが生まれます。

このように、手間を惜しまない職人技と忍耐によって、高糖度と高酸度が絶妙に調和した、素晴らしい熟成ポテンシャルを持つワインが完成します。

当ワイナリーの貴腐ワインは、ドライアプリコットやアカシア蜂蜜、サフラン、イチジクのドライフルーツ、さらに柑橘の蜜煮などを想起させる複雑なアロマと、エレガントなミネラル感が特徴です。口当たりは甘さと酸味が見事に調和し、ブルーチーズやクリーム系のデザートと絶妙なマリアージュを楽しめるだけでなく、瞑想のひとときにゆっくりと味わうのも最適です。

貴腐ワインの生産は私たちにとって誇りであり、この土地との深い結びつきを象徴しています。伝統と革新、そして職人技が融合することで、私たちのルーツを大切にしながら未来を見据えたワインを創り上げています。世界の多くの方がこのワインに魅了され、Orvieto Classicoが誇る貴腐ワインの名声をさらに確固たるものにしています。